『ウェイン・ショーターの部屋』(http://www.bekkoame.ne.jp/~echika/wayne/wsindex.html)の別館です。


by Fee-fi-fo-fum

Wayne Shorter "Lugano 1987"

 だいぶサボッてたんで、入手していたCDの紹介から始めます。

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     Wayne Shorter "Lugano 1987" (MEGADISC)


disc-1
01、Flagships 〜 Plaza Real
02、Three Marias
03、Footprints 〜 ?

disc-2
04、Yamanja
05、Condition Red
06、?
07、Remote Control

    Wayne Shorter (ts,ss) Jim Beard (key)
    Carl James (b) Terri Lyne Carrington (ds)
    Marilyn Mazur (per)          1987.7.2

 これは凄い! これを聴かずしてショーターは語れないようなライヴだ。
 ウェザーリポート解散後のショーター・バンドの第一歩といえる時期のライヴであり、音質もオフィシャル並み。ブートCDRだが、このままオフィシャルでリリースしてもらいたい内容だ。収録時間は80分ちょっと。
 この時期のショーター・バンドのライヴとしては先に『Zurich 1985』や『N.Y.C. 1986』が出回っていたが、それらを聴いていて、正直ぼくも、さすがのショーターも88年のバンドを組むまではバンド作りに苦労してたんだろうなと、ファンにあるまじき見下し視線で見ていた。しかし、このライヴを聴いておもわず平謝りにあやまりたくなった。
 つまり『Zurich 1985』はあくまでウェザーリポート存続中のソロ・ツアー・バンドでのライヴ、『N.Y.C. 1986』は本格的レギュラー・バンドでツアーを始める前の臨時編成バンドでの試運転ライヴといった性格のものである。どちらも「これからこのバンドでやっていくぞ」というグループによる演奏ではない。ウェザーリポートを解散して、ショーターがレギュラーとして活動していく意気込みで編成したのはこのバンドが最初である。そして、このショーター・バンドの完成度たるや、最初から驚くべきものだったことが、このアルバムを聴いてわかった。
 さて、これは『Phantom Navigater』のツアーからのもので、演奏曲の半分は『Phantom Navigater』の収録曲になる。先の『Zurich 1985』は質の高いエレクトリック・ジャズのライヴ演奏だとは思ったものの『Atlantis』の編曲性をステージ上で再現できているとは思えなかった。しかし、このバンドはかなり『Phantom Navigater』の世界をステージ上で再現できていると思う。あのアルバムはバッハ的な対位法を使用しているのと、打ち込みを使用したり、ショーターにしてはテクノっぽい音作りをしているのことに特徴があるのだが、ここで『Phantom Navigater』収録曲のライヴ・バージョンを聴くとそういった特徴が、むしろ増強されているように感じる。つまり、テクノっぽいと言いたくなるほど電子音が増強され、複数の旋律が対位的に動いていく音空間が生み出されている。それがこの前後のショーター・バンドのライヴとはちょっと違った雰囲気を生み出していて、そのせいか『Phantom Navigater』の収録曲は以後のショーターのライヴのレパートリーには残っていないようだ。それだけに貴重なライヴだ。
 バンドの編成はパーカッションを加えた5人というウェザーリポートと同じ楽器編成だ。打楽器隊が二人とも女性というのもおもしろい。このパーカッションの役割は、『Phantom Navigater』収録曲では不思議な音を出す楽器を叩いて幻想的な音空間を演出し、それ以外の曲ではウェザーリポートと同じく、ラテン的にリズムを増強して、ぐいぐいとサウンドを爆走させる役割を担っている。
 冒頭は『Phantom Navigater』収録の "Flagships" から "Plaza Real" へ続くメドレーだ。この最初の "Flagships" がまずこの時期のショーター・バンドの個性を示す演奏で、電子音の不思議な空間が広がっていくような色彩豊かな演奏だ。
 続く "Plaza Real" から「Disc-1」の最後まではウェザーリポート風の迫力ある演奏が続く。 "Plaza Real" は『N.Y.C. 1986』でのバージョンからぐっとテンポアップし、軽快な疾走感のある曲へと様変わりしているし、"Three Marias" も、この曲には似つかわしくないんじゃないかと思うほどスピーディーで迫力ある演奏だ。"Footprints" に至っては、別の曲かと思うほどの迫力のある暴走を見せ、メドレーでファンキーなリズムの曲に続いていくのだが、これが何という曲かわからない。
 そして「Disc-2」に移ると『Phantom Navigater』収録曲が中心になり、"Yamanja"、"Condition Red"、"Remote Control" と、この時期のライヴでしか聴けないテクノっぽい感触をもった演奏がたっぷり聴ける。
 その間に挟まった6曲めの曲が何かわからない。ジム・ベアードが終始リードして迫力ある演奏を繰り広げるナンバーなのだが、ひょっとするとベアードのオリジナルだろうか?
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by Fee-fi-fo-fum | 2009-03-11 01:16 | Wayne Shorter