『ウェイン・ショーターの部屋』(http://www.bekkoame.ne.jp/~echika/wayne/wsindex.html)の別館です。


by Fee-fi-fo-fum

Wayne Shorter "One By One"

Wayne Shorter "One By One"      (MEGADISC)

01、Footprints
02、Fee-fi-fo-fum
03、One By One
04、Nefertiti 〜 ?

    Wayne Shorter (ts,ss) Kirk Lightsey (p)
    Rufus Reid (b) Steve Ragby (ds)    1982.10.8

 これは貴重な、ウェザーリポート在籍時のショーターのアコースティック・バンドでのライヴを収録したブートCDR。音質は良好で、収録時間は68分ほどだ。
 実はたいした期待もしないで聴いたのだが、これがものすごく良い。新発見だった。
 期待していなかった理由は、この時期のアコースティック・バンドならVSOPの延長みたいなものじゃないかとおもっていたからなのだが、聴いてみると全然違う。
 ではどういう演奏かというと、一言でいえばリラックスしきったような演奏で、個人的には1970年代の Pablo などのレーベルのアルバムの雰囲気を連想した。この時代の Pablo では、ズート・シムズとかミルト・ジャクソンなどのベテラン・ジャズマンたちが、もう新趣向とかいったものは何も考えず、気心が知れた仲間と好きな曲を好きなように演奏したアルバムがたくさんあって、その普段着の感触が心地良かったが、ここでのショーターもそんな雰囲気で演っている。つまりは張りつめたような緊張感も新らしい試みも何もなくて、ただただ楽しげに演奏している雰囲気だ。こういったタイプの演奏を聴けるアルバムはショーターの場合めずらしい。
 まあ、姿勢として前向きとはいいかねる演奏なので、そこを批判しようとおもえばできるのだが、たまにはこういう演奏があってもいいんじゃないかと思う。
 特に天性のインプロヴァイザー・タイプのジャズマンは、こういった肩の力が抜けきって無責任な態度の演奏で真価を発揮する面もある。ショーターも天性のインプロヴァイザーなんでその例に洩れず、ここでのショーターの演奏はまさに自由自在で、後から後からイマジネーションが温泉のように噴き出してくるようだ。
 68分という収録時間でたった5曲ということでもわかるとおり、演奏はどれも長尺であり、それもノリにノッてアドリブしているうちに演奏時間がどんどん伸びていていく感じ。"Footprints" と "Fee-fi-fo-fum" に至っては20分前後におよぶ演奏である。
 とりわけ聴きどころなのは "Fee-fi-fo-fum" だ。それはこの曲のライヴ・バージョンがめずらしいというのもあるが、この演奏ではドラムがちょっとメッセンジャーズ時代のモーニンをおもわせるようなビートを叩き出していて実に調子がいい。この曲にこういったアプローチのしかたがあったのかと思わせてくれる。
 なお、"Nefertiti" が15分過ぎで終わった後、別の曲が始まるのだが、この曲名がわからない。別にメドレーではなく、完全に別の曲が始まるのだが、トラックを分けるのを忘れたらしく、4トラックめに続けて入っている。
 最後に、このバンドのことだが、よくわからない。多分ウェザーリポートの活動とは別にアコースティック・ジャズがやりたくなって臨時に組んだようなバンドだと思うのだが。
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by Fee-fi-fo-fum | 2009-03-12 01:06 | Wayne Shorter