『ウェイン・ショーターの部屋』(http://www.bekkoame.ne.jp/~echika/wayne/wsindex.html)の別館です。


by Fee-fi-fo-fum

Herbie Hancock "River  -the joni letters-"


■Herbie Hancock "River  -the joni letters-"    2007  (Verve)


01、Court and Spark featuring Norah Jones
02、Edith and the Kingpin featuring Tina Turner
03、Both Side Now
04、River featuring Corinne Bailey Rae
05、Sweet Bird
06、Tea Leaf Prophecy featuring Joni Mitchell
07、Solitude
08、Amelia  featuring Luciana Souza
09、Nefertiti
10、The Jungle Line featuring Leonard Cohen
11、A Case of You (Bonus Track)
12、All I Want featuring Sonya Kitchell (Bonus Track)

 「12」以外
 Wayne Shorter (ts) Herbie Hancock (p)
 Dave Holland (b) Vinnie Colaiuta (ds) Lionel Loueke (g)

 「12」のみ
 Wayne Shorter (ss,ts) Herbie Hancock (p)
 Larry Klein (b) Vinnie Colaiuta (ds)
 Paulinho Da Costa (per) Dean Parks, Lionel Loueke (g)

 音楽産業の商業性に嫌気がさしたといって一時は引退を宣言していたジョニ・ミッチェルも見事に復活をはたしたが、これはハービー・ハンコックによるジョニ・ミッチェル曲集。
 演奏の中心となっているのはショーター〜ハンコック〜ホランド〜カリウタのアコースティック・カルテットだ。そこに上記のような女性ボーカリスト達が次々に登場して一曲づつ歌っていき、バンドだけの演奏もあるという内容。ジョニ・ミッチェル自身も6曲めで歌っている。(ギターのリオーネル・ルークはあまり目立たず、引き立て役か)
 ジョニの曲が並ぶなかで、なぜデューク・エリントンの "Solitude" やショーターの "Nefertiti" を演奏しているかは不明。(日本盤を買えば解説されてたんだろうか)
 テンポはどの曲もミディアム〜バラードに揃えてあり、単純にアコースティック・ジャズによるバラード集として、BGM的に聴くこともできる。
 さて、中心となるカルテットの演奏だが、ここではデイヴ・ホランドのベースの存在感が大きい。夜の湖を小さな舟でたゆたうようなというか、深く揺れるリズムを鳴らしている。対するハンコックは波間に揺れる月の光のような、神秘的で透明感のあるピアノの音を散らしていく。
 ショーターとハンコックがアコースティック・ジャズを演る場合、ショーター〜ハンコックの対話にリズムが付くという形になることが多いのだが、ここではむしろハンコック〜ホランドのコンビネーションが中心になっている気がする。ヴィニー・カリウタはザッパ・バンド出身の超絶技巧ドラマーという印象がいままで頭のどこかにあったのだが、このアルバムを聴いてその偏見が吹っ飛んだ。ブラシを多用して見事なまでにジャジーな演奏をしている。
 そしてショーターはというと、ほとんどの曲では歌伴の枠内での演奏になるのだが、さすがにソロ・スペースは大きくとられているので、ショーターのソロもハンコックのソロも充分に聴ける。基本的には軽みのある滋味ゆたかな演奏になるが、"Nefertiti" ではかなりテンションの高い対話的な演奏を見せていて、ショーター目当てならここが聴きどころ。
 ところで本作にはボーナス・トラック付きとそうでないアルバムがあるが、"A Case of You" でのハンコックのピアノが良いので、ボーナス・トラック入りを推薦しておこうか。でも、アルバムの終わり方としては、レナード・コーエンの詩の朗読で終わる終わりかた(ボーナス・トラック無し)のほうが素晴らしいと思うのだが。

 なお、このアルバムはグラミー賞の最優秀アルバム賞を受賞したそうで、ジャズアーティストが最優秀アルバム賞を受賞するのは四十数年ぶりなんだそうだ。ではその四十数年前に受賞したのは何かと思ったら、『ゲッツ〜ジルベルト』なんだそうで、なんだかグラミー賞の選考委員の基準がミエミエのような気がしたのはぼくだけだろうか。結局歌入りで穏やかなやつがいいのかと。
 でもまあ、そんな賞を受賞したのなら、その話題性をかって(サンタナの時のように)近年のハンコックのライヴ盤などをオフィシャルでリリースしてくれないものだろうか。
 まず第一にリリースすべきはやはり本作の主役、ハンコック〜ショーター〜ホランドの三人にブライアン・ブレイドを加えたカルテットでの2004年のライヴだろう! ぜひオフィシャルでリリースを!!
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by Fee-fi-fo-fum | 2009-05-07 01:05 | Herbie Hancock