『ウェイン・ショーターの部屋』(http://www.bekkoame.ne.jp/~echika/wayne/wsindex.html)の別館です。


by Fee-fi-fo-fum

Wayne Shorter "Live at Montreux 1996"


■Wayne Shorter "Live at Montreux 1996"  


01、On the Milky Way Express
02、At the Fair
03、Over Shadow Hill Way
04、Children of the Night
05、Endangered Species

    Wayne Shorter (ts,ss) David Gilmore (g)
    Jim Beard (p, key) Alphonso Johnson (b)
    Rodney Holmes (ds)        1996.7.8

「Bonus Tracks」

Introduction by Quincy Jones
06、Footprints
07、On the Milky Way Express

    Wayne Shorter (ts,ss) Herbie Hancock (p,key)
    Stanley Clark (b) Omer Hakim (ds)   1991

Introduction by Quincy Jones
08、Pinocchio
09、Pee Wee / The Theme

    Wallace Roney (tp) Wayne Shorter (ts,ss)
    Herbie Hancock (p) Ron Carter (b)
    Tony Williams (ds)             1992


 1996年のショーター・バンドのライヴが遂にオフィシャルでDVDとしてリリースされた。
 モントレーでのライヴであり、ボーナス・トラックとして91年のスーパー・カルテット期と、92年のトリビュート・トゥ・マイルス期のライヴの映像が一部づつ入っている。
 収録時間は、アナウンスやテロップの時間を省いた正味の演奏時間でいくと、96年のライヴが55分ほど、91年が26分弱、92年が20分ほど。中心となる96年のライヴの時間がモントレーのライヴのためか短めなのは不満点ではあるが、まずはこのバンドのライヴがオフィシャル化されたという快挙を喜びたい。画質・音質は当然のように完璧だ。
 まず96年部分から聴いていこう。
 7月8日の演奏なので『Live Express』の二日前のライヴであり、選曲でみれば初のオフィシャルにふさわしい、この時期のショーター・バンドの魅力を充分に伝えるナンバーが揃っているように見える。でも5曲でたったの計55分という点でわかるとおり、それぞれが充分な長さで演奏されているとはいえない。「01」「02」「03」という『High Life』収録曲はどれも10分を超える演奏ではあるのだが、"Over Shadow Hill Way" は8分、"Endangered Species" に至っては5分にも満たないショート・バージョンだ。この時期のショーター・バンドの演奏の魅力は物語的展開をもった編曲と即興演奏の融合にあるので、1曲10分を超えるくらいの充分な長さで演奏してこそ本当の魅力がわかる。それでも高速度で駆け抜ける "Over Shadow Hill Way" はこれはこれで満足できる演奏だが、"Endangered Species" は正直物足りない演奏だ。
 対して『High Life』収録曲のほうはどれも充分に堪能できる。とくに『Copenhagen 1996』では途中でフェイド・アウトしてしまっていた "Children of the Night" が完全収録されていることがうれしい。
 とはいえ、やはり計55分という演奏時間はこのバンドの魅力を充分味わいきるには不充分な内容だと思う。"Pandora Awakened" や "Virgo Rising" など未収録の名曲もある。やはり『Live Express』や『Copenhagen 1996』も合わせて聴きたいところだ。

 続いて91年のスーパー・カルテットでの演奏だが、正直このバンドのライヴはこんなふうにボーナス・トラックとして一部だけ入れるのではなく、完全版としてオフィシャル化してもらいたいところだ。このバンドの演奏はCDでもオフィシャルでは手に入らないのではないか。まあ、高音質のブート盤がいろいろ出ているので困ることはないが、もし同じ音源がオフィシャルとブートで出ていたら、たとえ値段が高かったとしてもオフィシャルを買うぐらいの倫理観はもっているつもりだ。
 でも、ここに収録されて良かったとおもう点は、同じエレクトリック・ジャズのスタイルでの演奏でありながら、96年のショーター・バンドとはかなり違う演奏なので、96年のバンドの特徴を浮き彫りにする役割を果たしているのではないかということだ。
 つまり、96年のショーター・バンドの演奏は展開のある編曲性と即興演奏の融合が特徴となっているが、スーパー・カルテットの演奏ではそのような点はあまり見られず、ただ各メンバーのソロを順番に聴かせていく演奏になっている。つまりエレクトリック楽器を使ったジャズそのものだ。
 この違いを聴くことで、96年のショーター・バンドが普通のエレクトリック・ジャズとは違うものを目指したバンドだったことがわかる。

 続いて92年のライヴ部分だが、このバンドの演奏は既にオフィシャルでCDがリリースされているのでそう新鮮味はない。それにメンバーからいってVSOPの再現みたいなものなので、さらに新鮮味はない。
 とはいえトランペットが抜けたカルテットで演奏される "Pee Wee" はCDでは未収録だし、映像がオフィシャル化されたのも初めてかもしれない。
 91年と合わせてボーナス・トラック部分はそれぞれのバンドでの演奏のうちショーター作の曲か、ショーターの見せ場の演奏をセレクトしているようで、それはそれで満足して聴くことはできる。
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by Fee-fi-fo-fum | 2009-05-10 00:47 | Wayne Shorter