『ウェイン・ショーターの部屋』(http://www.bekkoame.ne.jp/~echika/wayne/wsindex.html)の別館です。


by Fee-fi-fo-fum

Carlos Santana & Wayne Shorter Band "Live at the 1988 Montreux Jazz Festival"


■Carlos Santana & Wayne Shorter Band "Live at the 1988 Montreux Jazz Festival"  (Liberation)


「Disc-1」
01、Spiritual
02、Peraza
03、Shh...
04、Incident at Neshabur
05、Elegant People
06、Percussion Solo
07、Goodness and Mercy
08、Sanctuary

「Disc-2」
09、For Those Who Chant
10、Blues for Salvador
11、Fireball 2000
12、Drum Solo
13、Ballroom in the Sky
14、Once It's Gotcha
15、Mandela
16、Deeper, Dig Deeper
17、Europa
18、Bonus Track: Inerviews with Carlos Santana, Wayne Shorter & Claude Nobs

    Wayne Shorter (ts,ss) Carlos Santana (g)
    Patrice Rushen, Chester D.Thompson (key)
    Alphonso Johnson (b) Leon "Ndugu" Chancler (ds)
    Armando Peraza (per) Chepito Areas (timb)
                           1988.7.14
 
 1988年に行われたショーターとサンタナのツアーから、モントルーでのライヴ音源がオフィシャル化された。上はCD版の曲目だがDVDも出ている。演奏時間は120分強で、ほかボーナストラックとしてインタビューが3分ほど入っている。
 メンバーは上記のとおりサンタナのバンドにショーターがゲスト参加したかたちだが、パトリス・ラッシェン、アルフォンゾ・ジョンソンなどショーターゆかりの顔もあり、ツイン・キーボードに打楽器3人の8人編成という大所帯のグループだ。
 先に出回っていたこのツアーからのブート盤より音質・バランス共に大きく向上し、とくに音質は文句なしの高音質で、まず感激した。しかしショーターのサックスの音はオフ気味なのは変わらず、サンタナのギターはおろか、キーボードの音より小さく聴こえ、聴いていて哀しくなる。
 さて、聴いた感想だが、そんなバランスの問題をおいておくとしても、複雑な心境だ。
 いくらバランスがオフ気味といっても、ショーターの見せ場はたっぷりとある。曲によってはサンタナのソロがない、完全にショーター中心の曲もある。だから、たぶん80年代後半のショーター・バンドのライヴ盤が聴きたくても手に入らなかった頃にこれを聴いたのなら喜んで愛聴していたかもしれない。
 しかし、ブート盤とはいえ同じ88年のショーター・バンドのライヴが高音質で聴ける現在となってしまっては、正直いってこのバンドのライヴは、88年ショーター・バンドのライヴよりかなり見劣りがする。
 8人編成の大所帯ではグループ間での対話を重視した演奏は難しく、編曲に頼った演奏となる。そこが既にショーター的ではない。それでもこのバンドの演奏は躍動感があってサンタナのバック・バンドとしては充分だ。けれど、ショーターのバック・バンドとして聴くとサウンドがわかりやすすぎ、安定感がありすぎて、スリルや緊張感が感じられないのだ。たぶん和声的な単純さが原因ではないだろうか。
 とはいっても、先述したとおりショーターの見せ場はある。しかしショーターの見せ場とサンタナの見せ場は別々で、けっきょく交互に自分の演奏をしているだけで、共演することによって生まれてくる何かというものは感じられない。それでは、そもそも一緒にライヴをやる意味ってあったんだろうかとも思えてくる。
 大物どうしの顔合わせなんてそんなものだと言う人もいるかもしれないが、この後の1990年のラリー・コリエルとの共演ライヴでの緊密な対話性をもった演奏の見事さを聴いてしまうと、それに比較して本作がよけい不満足なものに聴こえてくる。
 オフィシャルで出してもらったものにあまりケチはつけたくないし、ショーターの見せ場はあるのだからそれでいいじゃないかともわりきれればいいのだけれど、やはり本作と比べると88年のショーター・バンドや90年のコリエルとの共演ライヴのほうがずっと魅力的に聴こえてしまうのは否定できない。
[PR]
by Fee-fi-fo-fum | 2009-05-13 01:32 | Wayne Shorter