『ウェイン・ショーターの部屋』(http://www.bekkoame.ne.jp/~echika/wayne/wsindex.html)の別館です。


by Fee-fi-fo-fum

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Wayne Shorter "Cologne 2007"

Wayne Shorter "Cologne 2007"       (MEGAVISION)

01、Zero Gravity
02、She Moves Through the Fair
03、As Far as the Eye Can See
04、(Interview)
05、Over the Shadow Hill Way
06、Smilin' Through
07、Prometheus Unbound

   Wayne Shorter (ts.ss) Danilo Perez (p)
   John Patitucci (b) Brian Blade (ds)
       Live at Cologne, Germany   2007.4.30

 これはドイツでのライヴを収録したブートもののDVDRだが、映像・音質ともにオフィシャル並みの高クオリティー。モトは多分放送用の収録だろうが、カメラワークなどもきちんとしていて、暗いホールで演奏するカルテットの姿が美しい。収録時間は77分で、途中に4分ほどのインタビューが入るので演奏時間は正味73分ほど。インタビューはショーター以外の3人のメンバーへのものである。
 欠点をいえば演奏からインタビューに入るタイミングが唐突なことだ。これは一曲一曲がきれてる演奏ではなく、ずっとメドレーで演っているので、途中でインタビューを挟むのにはそうするしかなかったんだろう。欲をいえばインタビューなど挟まずに演奏を切れ目なく収録してほしかったところだが、まあそれは贅沢な要求かもしれない。これほどのオフィシャル同然の音質・画質でショーター・カルテットの演奏を73分間も聴けるというだけでも充分すぎるほど満足だ。
 さて、2007年のショーター・カルテットの演奏である。
 長年一緒に演奏してきたことによって、バンドの演奏の対話性はより緊密で自然なものになってきている。対話的に演奏しようと構えなくても、自然に演奏がそうなっているような感じに聴こえた。
 一言でいえば「幽玄」と表現したくなるような神秘的な色彩の濃い演奏だ。ショーターの吹く口笛に呼応するように闇のなかから音楽が風のように現れて、様々に変化しながら空中を浮游し、時には静寂に満ち、時には激しく躍動しては、やがて消えていく……というようなかんじ。カルテットもおそるべき境地に達したものだ。
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by Fee-fi-fo-fum | 2009-04-12 23:07 | Wayne Shorter
Wayne Shorter Quartet "Footprints Alive"     (MEGADISC)


01、Sanctuary 〜 Masqualero
02、Chief Crazy Horse
03、Aung San Suu Kyi
04、Footprints

   Wayne Shorter (ts.ss) Danilo Perez (p)
   John Patitucci (b) Brian Blade (ds)
      Live at Lugano, Switzerland   2001.7.13

 ブートCDRで収録時間は50分弱。音質はオフィシャル並みで文句無し。演奏も文句無しだ。
 では「買い」なのかというと、けっこう迷う人も多いのではないか。
 その理由はオフィシャルの『footprints live』と完全に同時期の録音であり、曲目もすべてダブるからだ。だから新しい何かを発見することは期待できそうもない。だから、とりあえずはオフィシャルの方を聴いとけばそれでいいんじゃないかという気にもなる。
 とはいえ、音源自体はまったくダブらない。詳しく言うと、オフィシャルの『footprints live!』は2001年7月の14日、20日、24日のライヴが収録されているが、本作は13日だからオフィシャル収録の最初の録音日の一日前のライヴということになる。
 そしてジャズはインプロヴィゼイションを身上とする音楽だから、同時期のライヴであっても演奏も同一ということはない。
 ということで聴いてみて、まず驚いたのは3曲目の "Aung San Suu Kyi" だ。これはアプローチのしかたが全然違う。『footprints live!』では最初から軽快でリズミカルだった演奏が、ここでは静寂み満ちた詩的に始まり、後半にむかって荘厳に盛り上がっていく演奏になっている。この曲だけを取り出していうのなら、ぼくはこっちの演奏のほうがいいと思う。というより、両方並べて聴きたい。
 その他の曲はアプローチのしかたは『footprints live!』での同一曲とだいたい同じであり、ただ演奏・アドリブが違うという、いわば一般のジャズの同一曲別演奏とおなじ感じになる。
 しかし、この "Aung San Suu Kyi" の全然違う演奏を聴いてしまうと、ひょっとするとこれらの曲も、たまたまこの日が『footprints live!』収録バージョンと同じアプローチをした日だったのであり、まったく違うアプローチをした日もあったのではないかと思われてくる。
 もっといろいろな音源を聴いてみたくなった。
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by Fee-fi-fo-fum | 2009-04-12 23:03 | Wayne Shorter
Wayne Shorter "Live at Monterey 2000"     (MEGADISC)


01、Masquelero
02、Aung San Suu Kyi
03、JuJu
04、Orbits (with Monterey Chamber Orchestra)
05、Angola (with Monterey Chamber Orchestra)
06、Vendiendo Alegria (with Monterey Chamber Orchestra)

   Wayne Shorter (ts.ss) Danilo Perez (p)
   John Patitucci (b) Brian Blade (ds)
   Alex Acuna (per)
     Live at Monterey Jazz Festival 2000.9.17


 ブートCDRで、音質は若干こもり気味だが、充分に高音質といえるレベルだろう。
 これは何より後ににウェイン・ショーター・カルテットとなるバンドの最初期の演奏を収録したものとして興味深い。『Footprints Live』が2001年7月の録音なので、それより一年近く前の録音だ。さらに後半の3曲には Monterey Chamber Orchestra(モントレー室内管弦楽団とでも訳すか)というオーケストラが加わっており、こちらは『Alegria』の前段階だろう。実際、演奏曲も前半3曲はすべて『Footprints Live』に収録され、後半3曲は『Alegria』に収録されている。
 さて、そのバンドだが、この時点ではアクーニャのパーカッションが加わったクインテットを考えていたことがわかる。エレクトリック/アコースティックを別にすればウェザーリポートと同じ楽器編成であり、またウェザー解散後のショーターの最初のレギュラー・バンド(87年のバンド)もこの楽器編成だった。ショーターにとってこの編成は愛着のあるものなのかもしれない。とすると、ウェザーリポートがずっとこの編成を続けたのはショーターの意向だったのだろうか?
 さて、そのクインテットの演奏を聴いてみると、ウェザーリポート的にパーカッションがリズムを増強するタイプの演奏は、成功していないと思う。カルテットの繊細な対話性から生まれてくる音楽を、こんなふうにリズムのノリが、むしろ汚してしまっている気がする。前半で良いのは "Aung San Suu Kyi" で、ドラムとパーカッションがギクシャクしたかんじのリズムを生み出しているのがおもしろい味になっていると思った。
 ということでレギュラー・バンドからはパーカッションが抜けてカルテットになり、アクーニャは『Alegria』のほうに曲によって参加するのみになったが、この判断は正しかったと思った。
 後半のオーケストラ入りの演奏も含めて、結論をいっていまえば、どの曲も結局は『Footprints Live』や『Alegria』のバージョンが良いということなる。それを確認するためのアルバムといってしまえば、それまでだ。
 でも、ショーターの場合、このような途中経過みたいな演奏が出てくることは珍しいので、やはりこれはこれで聴いて良かったと思える演奏だった。
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by Fee-fi-fo-fum | 2009-04-12 23:00 | Wayne Shorter